社労士業務のポイント

労働基準監督官について

労働基準監督官は働く人の権利や安全を守る専門職の国家公務員である。労働基準法や最低賃金法、労働安全衛生法などで定める労働条件や安全基準に違反していないかを調べる。

 

予告なしに企業に立ち入り調査(臨検)することができ、違反が確認されれば企業に是正勧告や改善指導をする。悪質事案では刑事訴訟法に基づく特別司法警察員として、捜査や差し押さえ、逮捕などの強制捜査を行うこともある。

 

厚生労働省によると、雇用者1万人当たりの監督官の数を見ると、日本は欧州諸国に比べて少ないのが現状。

労基監督官を増員する動き

厚労省によると、2016年度末、監督官の定員は計3241人。全国の事業所は400万か所超で、監督を実施するのは毎年全体の3%程度にとどまり、慢性的な人員不足が指摘されている。

 

電通の違法残業事件などを受け、17年度も50人増員したたものの、長時間労働を是正するために労働基準監督署の監督官が不足。

 

日本経済新聞(2017年8月23日夕刊)によると、政府が長時間労働や賃金未払いなどを調べる労働基準監督官を来年度、100人増員する方針を固めたことが分かった。厚生労働省の来年度予算の概算要求に関連費用を盛り込む予定。

 

働き方改革の一環として罰則付きの残業規制を設ける方針で、違法な長時間労働の取り締まりに向け体制の強化をはかる。

 

 

厚労省は2015年に東京と大阪の労働局に監督官で構成する過重労働撲滅特別対策班(通称かとく)を設置して電通などを立件、対策を進めてきたが、最長で「月100時間未満」などとされる残業時間の上限規制が導入されれば、企業に対してよりきめ細かい監督や指導が求められる。

 

監督機能の強化を巡っては、政府の規制改革推進会議が監督官の業務を補完するため、業務の一部を社会保険労務士など民間に委託する提言をまとめている。


inserted by FC2 system